「腰痛」と聞くと、大人や高齢者の悩みと思われがちですが、実はサッカーをしている子どもにも腰痛のリスクはあります。
私自身、サッカーをしていた頃は腰痛について深く考えたことはありませんでした。
ですが引退後、左脚のしびれと痛みに悩まされ、腰椎ヘルニアと診断された経験があります。
振り返ってみると、知らず知らずのうちに腰へ負担が積み重なっていたのだと感じます。
また、ストレッチトレーナーとして活動していた際にも、サッカーをしている子どもが「腰の違和感」や「疲労感」を訴えるケースに多く出会いました。
特に成長期の子どもは、筋肉や関節のバランスが崩れやすく、適切なケアを怠ると腰に負担が集中しやすいのです。
この記事では、
- なぜサッカーをする子どもに腰痛のリスクがあるのか
- 子どもの腰への負担を減らすためにできるセルフケアや習慣
についてご紹介します。
サッカーをする子どもが腰を痛めやすい理由
ひねり動作が腰に負担をかける
サッカーは、走る・蹴る・止まる・ターンするといった全身を使うスポーツです。
その中でも特に腰への負担が大きくなるのが、「ひねり動作」です。
- 強いシュートを打つ時
- 急激なターンや切り返し
- 競り合い時の体幹のねじり
これらの動作は、腰椎(腰の骨)にかかる負担を積み重ねる要因となります。
本来、身体をひねる動きは胸椎(胸の骨)が担うべき動作ですが、サッカーの激しいプレー中は腰椎が無理をして代償動作をしてしまうケースが多いのです。
腰椎は、体幹を安定させる「スタビリティ関節」に分類され、ひねりには適していません。
それにもかかわらず、繰り返し無理な動きを続けることで、腰への負担が蓄積し、結果として腰の違和感や不調を感じる子どもが増えてしまうのです。

筋肉の柔軟性低下による影響
サッカーをする子どもは、太もも(大腿四頭筋やハムストリングス)、お尻(大臀筋)、股関節周りの筋肉を非常に酷使します。
これらの筋肉が硬くなると、
- 骨盤の前傾・後傾が強くなる
- 姿勢が崩れて腰椎への負担が増える
- 身体の連動性が低下し、無理な動きで腰を使いすぎる
といった悪循環が起こります。
特に成長期の子どもは、骨が先に成長し、筋肉や腱がその成長スピードに追いつかず、一時的に柔軟性が低下しやすい時期でもあります。
このような身体の変化が、サッカーによる腰への負担をさらに強める要因となるのです。

サッカーをする子どもの腰への負担を軽減する3つのポイント
1. ウォーミングアップとクールダウンの徹底
まず大切なのは、練習や試合前後にしっかりと身体を整えることです。
練習前は、動的ストレッチや軽いジャンプ動作などで全身を温めることで、筋肉や関節の可動域を広げ、腰への負担を軽減できます。
サッカーをする子どもにおすすめのウォーミングアップ例
- 股関節回し(前後左右に大きく動かす)
- ランジウォーク(股関節と太ももを同時に動かす)
- ヒップリフト(お尻と体幹を目覚めさせる)
練習後は、静的ストレッチや軽いジョギングでクールダウンを行い、疲労を溜めこまないようにケアすることが重要です。

2. 柔軟性を高めるストレッチ習慣
日頃から下半身の柔軟性を高めることで、腰椎への負担を減らしやすくなります。
特に以下の部位を意識したストレッチが効果的です。
- ハムストリングス(太もも裏)
- 大臀筋・中臀筋(お尻周り)
- 腸腰筋(股関節前面)
これらは腰痛予防や動作改善のための“セルフコンディショニング”として、毎日の習慣に取り入れるのがおすすめです。

3. 体幹とお尻のトレーニングで支える力をつける
腰そのものを守るためには、体幹と臀部の安定性を高めることが大切です。
これにより、サッカーで必要なバランス感覚や踏ん張りが効くようになり、腰に過度な負担がかからなくなります。
子どもの腰への負担軽減におすすめのトレーニング
- プランク(基本の体幹強化)
- サイドプランク(側面の安定性向上)
- ヒップリフト(お尻と体幹の連動性を高める)
- スクワット(正しいフォームで下半身全体を強化)
重要なのは、高負荷をかけることではなく「正しいフォームで行うこと」です。
無理に回数や重さを追い求めず、動きの質を高める意識で行いましょう。
子どもの腰の不調は早めに気づくことが大切
「子どもは元気だから大丈夫」と思いがちですが、腰への違和感や疲労を軽視するのは危険です。
特に、サッカー少年・少女に多い腰椎分離症(疲労骨折)は、初期段階で適切なケアや運動習慣を整えることで、リスクを大幅に減らすことができます。
あくまで“腰への負担を減らすための習慣作り”として、ウォーミングアップ・ストレッチ・トレーニングを行うことが重要です。
何か気になる症状が出た際は、無理をせず、早めに医療機関など専門家のアドバイスを受けましょう。

まとめ|サッカーをする子どもの腰を守るには
- サッカーをする子どもにも腰痛リスクはある
- ひねり動作・柔軟性低下・体幹不足が主な要因
- 「ケガ予防」「負担を減らす」ためのセルフケアが大切
- 日々のウォーミングアップ・ストレッチ・体幹トレーニングを習慣にする
- 不調を感じたら早めの対策を
サッカーを楽しく続けるために、腰に優しい体の使い方や日々のケア習慣がとても大切です。
これは治療ではなく、ケガを防ぐための正しい体づくり・予防策として、ぜひ意識して取り組んでみてください。